◆ このページのポイント ◆

1.建設合意書で約束している「先進事例」「最新技術の導入」を検討した痕跡がない。

2.全国で遮水シートの破損が報告されている。

3.恵下より高い安全基準で設計された埋立地で事故・トラブルが起き、4年で閉鎖。


全国の規定。全国の事例。

「先進技術」「先進事例」…どのように安全対策に生かしているの?

念のため、念のため、建設合意書以前に、全国に示されている指針を改めてご紹介します。

 

ごみ埋立地の指針である廃棄物最終処分場整備の計画・設計・管理要領(公益法人全国都市清掃会議)には

「整備計画」に次のとおり制定されています。


(チラシNo.17

上の画像の通り、

指針となる文書でも、「建設合意書」でも、

可能な限り最高水準の技術を用いるなど徹底した安全性を確保する

他都市における先進的な事例を参考にし、また、最新技術の導入等を図る

と明記されています。

 

なので、どのような事例や技術があるのか、そしてどのような事例や技術を参考にしたのかを

情報公開制度に沿って“考える会”が請求したところ、驚くべき通知が返ってきました

(チラシNo.17

 

これが、広島市から送付された通知です。

なんと、「文書が存在しない」という通知です。


事業を行う恵下(えげ)埋立地事務所には

1)他都市における先進的な事例を調査した資料

2)最新技術について調査した資料

そのような書類がないということです。


つまり、全国の先進的な事例も最新技術も、設計には反映させていないということでしょう。


恵下埋立地の建設には、先進都市の事例を参考にすることもなく、

最新技術の導入を図ることもないということなのでしょうか・・・?


 

なお、数日後に市長の考えを伺うべく

「『恵下埋立地』は『環境の保全と施設の安全確保』を絶対条件として

 安全対策に万全を期した施設とすべきであると市長様はお考えですか?」

と質問状を送ったところ、

 

(チラシNo.17

このように、「他都市の先進事例を参考にし、また最新技術の導入を図る」と建設合意書をひいて返ってきました。


これ・・・矛盾していませんか?

建設合意書が取り交わされた後に住民たちに知らせた時点で、住民には全く協議の場を与えられてきませんでした

いざ疑問点を提示したり、もっとこうしたらどうかと提案が出されてきても

<国の基準だから><費用がかかるからできない><前例がない><実績がない>といった回答ではぐらかされています。


費用については、建設工事には国庫補助金が通常25%出ますし、

支出を削減できるようなアイディアも出されています。

いろんな意見を取り入れることによって、より安心・安全な施設をつくる解決策が見つかるかもしれない、という

考えは ない のかもしれません。協議の入り口にすら立てていないような状況がずっと続いています。

全国の処分場の例…

ここで、全国の処理場の例を挙げます。

恵下埋立地よりもはるかに漏水対策を施した施設でも漏水事故や廃止といった事例がたくさん発生しています。

広島市の案というのは妥当なのか、、、ぜひご覧いただき、比較検討してみてください。



事例1 遮水シートのトラブル

(チラシNo.4

事例2 恵下埋立地より安全な構造の処分場が…


山梨県の明野処分場(ごみ埋立地)は、地元の強い反対を受け、安全性を問題視されながらも

国の基準を上回る安全対策を講じているので問題ないと住民に説明し、

平成18(2006)年に着工、平成21(2009)年からごみの搬入が開始されました。

 

しかし、二度の遮水シートの破損事故、二度の漏水検知システムの異常などで操業を停止し、

平成25(2013)年11月、閉鎖となりました。


(チラシNo.25

上の図は明野処分場と恵下埋立地の遮水構造(底面)を示した図です。

恵下埋立地の底面には計画されていない「自己修復シート」を入れ、

より一層の安全対策を講じた万全の設計で全く問題ないと説明していた施設です。

 

しかし、遮水シートは重機や斜面に働く想定外の強い力で破損し、

頼みの漏水検知システムは誤作動を起こして使い物にならなくなりました。

 

埋立開始から4年間でトラブルが相次ぎ、閉鎖になったということで、

行政のいう「安全」が、残念ながら全く信用できないという実例となってしまいました。

 

 

さらに、閉鎖後、住民は「汚染水漏れの恐れがあり安全が確保されていない」として

処分場の廃棄物を全面撤去するように申し入れているようですが、

県は現在のところ、莫大な処理費がかかることから、そのままにして廃止する予定です。

 

安全と費用…広島市の恵下埋立地に関する課題を追う中で、

この二つの優先順位が市側と住民側で異なっていることが、

様々な問題を「問題」のままにしてしまう大きな要因になっています。

ぜひ市には「お金より安全」を求める住民側の視点になって計画を考え直してもらいたいものです。

 

 

なお、この明野処分場の事故・トラブルの全過程は「山梨県環境整備事業財団」のHPで公開されています。

安全管理委員会の議事録、会議資料もすべてHPに掲載されており、原因把握の過程がすべて把握できる状況です。

 

恵下埋立地でも、地元住民のみならず市民全体が把握できるよう、このような透明性が不可欠です。