◆ このページのポイント ◆
1.急斜面で、震度の強い地震に耐えられない構造。
2.地震による土砂崩れ、地盤沈下が起きると浸出水が漏れ出す懸念がある。
3.浸出水処理・排水のための機器が破損したり故障したりすると浸出水が漏れ出す
リスクがある。
4.埋め立てたごみの安定状態が崩れると100年以上先でも新たな有毒物質が漏れ出る。
恵下(えげ)埋立地は、山を削ってつくるわけではありません。
恵下“谷”という、すでに窪んだ形状の場所にゴミを埋め立てていく形になっています。
主として、北側(湯来町側)は埋め立て、南側(沼田町戸山側)は掘削して整形します。
(チラシNo.42)
ここで問題なのは、その急勾配な設計です。
参考までに、右図の旭川市の埋立地と比べてもわかる通り、恵下谷の斜面勾配は非常に急です。この斜面は、震度6強クラスの地震には耐えられないことがわかっています。(チラシNo.19)
恵下埋立地は、山を削って造成するのではなく、山肌を削るところと土を盛るところが混在しており、
土を盛ったところは非常に水を通しやすくなります。
また盛る土は“真砂(まさ)”といって、豪雨で崩れたり空洞ができやすいものでもあります。
その為、“考える会”が市に対して、安全性を高めるために斜面勾配を緩やかにするよう要望したところ、
市からは 「斜面勾配を緩やかにすると、計画している160万㎥の容量が確保できない」という回答だったとのことです。
(そもそも、30年間使用するために160万㎥必要だと設計されていますが、
国の基準は15年であり、15年間使用の場合は80万㎥の容量があれば十分です)
また、勾配の急な斜面(法面)部で崩壊の心配がないのか質問状を出したところ、驚くことに
「この法面については、貯留構造物(堤体)と違い、万が一、
崩壊した場合でもこれが直ちに廃棄物の流出に直結するものでないことから、
震度6強クラスに対応する計画とはしていません」という回答が返ってきたそうです。
つまり、斜面部では地震時のすべり計算をして、斜面崩壊が起こらないか否か検討しますが、
その結果、埋立地の側面部の斜面(1:1.8勾配)では斜面崩壊が起こるが、
埋立地内部への崩壊であるので流出には関係ない、、、という回答であるととれます。(チラシNo.28)
さらに、地震対策への甘さの表れとして、
環境影響評価書の記述も以下のようになっています。(チラシNo.8)
(環境影響評価“準備書”の時点)
「震度6強でも安全性が確保された堤体を構築します。」
↓
(環境影響評価“書”になると)
「震度6強クラスの地震に対応し、震度6弱の地震に対しては十分安全な堤体を構築します。」
地震で土砂崩れや地盤沈下が起きた場合、またそれらにより施設や機器に破損や故障が起きた場合、
浸出水が漏れだすリスクがあります。
同No.8裏面によれば、
●埋立し積み上げられた廃棄物が大丈夫か(※)
●埋立地全体としての構造物が大丈夫か
この2点についても検討を行い、震度6強の地震に対しても安全な埋立地とすることを市に約束してもらったとのこと。
埋立地ができてしまうと、埋立が終わった後も未来永劫ここには有害なごみが埋まり続けることになります。
将来広島市に住む子ども、孫、またその下の世代のことを考えると、100年単位で地震に耐えうる設計でなければなりません。
これに対して市がどのように検討・対策を講じてくれるのか、しっかり注視したいところです。